
明日、日本時間の2016年6月24日午後、イギリスのEU残留 or 脱退という世紀の国民投票が行われます。
日本では、イギリスのEU脱退によって世界経済・日本経済に及ぼされ得る影響が日々報道されていますね。
しかし、そもそもなぜイギリスはEUを脱退したいのか?という部分をハッキリ答えられる人は少ないのではないでしょうか。
今日は明日の国民投票を前に、その理由について考えてみます。
1. イギリスとEUの関係とは?
そもそもイギリスのEU加盟は、他国とは少々スタンスが異なります。
EUの中でもイギリスは初めからヨーロッパ大陸の諸国からは一歩退いた立ち位置にあった。イギリスはEU加盟国でありながらユーロ圏に加わらず、独自通貨であるポンドを維持している。また、ヨーロッパ内の国境を廃止し、行き来を自由化するシェンゲン協定にも加盟していない。
<出展:http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/2082>
この通り、イギリスはEU内での共通通貨であるユーロは採用せず、独自通貨であるポンドを維持してきました。
その他にも、イギリスはEUの存在を認めつつ、常に一定の距離を置いてきたのです。
この理由は一言で言えば、ドイツやフランスの言いなりになってたまるか、といったところでしょうか。
元々EUは第二次世界大戦後のヨーロッパの平和を保つため、英国大統領のウィンストン・チャーチルが構想したものでした。
いうなれば、このEUという枠組みを持ってかつての暴れ馬・ドイツをコントロールしようと考えたのです。
ところが、このEUの枠組みをうまく利用したのが、他でもないドイツでした。
ドイツは敗戦後、元来のドイツの独自通貨マルクよりも安くなったユーロを通貨として採用したことにより、輸出業を中心に驚くべき経済成長を遂げ、あっという間に欧州の盟主の座を手にいれるまでになったのです。
この状況が面白くないのは、当然イギリスですよね。
フランスと一緒になって、EUを盾に欧州のリーダーの地位を確立しようとするドイツに対し、イギリスはそう簡単には従いませんね。
そんなわけで、イギリスはEU自体から距離をおきながら、その存在を認めざるをえないような状態となっていました。
2. イギリスがEUを脱退したい本当の理由
上記のような背景があったとして、イギリスが世界平和の秩序が乱れるリスクを背負ってまでEUを脱退する理由になるでしょうか?
イギリスには、もっと本当にEUを脱退したい理由があると思いませんか?
イギリスは現実的な問題に直面した結果、EU脱退の道を選ぼうとしているのです。
それはズバリ、移民問題が一番だと思います。
一定の距離を置いているとはいえ、イギリスもEUに加盟する以上、加盟国としての「義務」を負い、そのうちの一つが難民の受け入れというわけです。
イギリス国内に移民が入ってきて何が問題なのか。それは、彼らを受け入れるだけの体制を作るために多額の税金を必要とするからです。
住む場所・着るもの・食べるもの。それら全てを用意してあげる代わりに、自国へ受け入れ労働力となってもらうものが難民受け入れの元々の目的なのです。(もちろん、人道的な理由もありますが、それだけで難民を受け入れていたらキリがありません)
しかし、難民受け入れはそう簡単なものではありません。残念なことに、犯罪率の増加や差別など、イギリス国民との確執を生んでしまうことも多々あるのです。
「わざわざ税金を払ってまで、問題だらけの外国人が入ってきて何のメリットがあるのか?むしろ損をしている!」
という国民の意見が増えた結果、今回のEU離脱の国民投票というところまで不満が爆発しているのです。
3. イギリスがEUを脱退した場合、世界経済・日本経済への影響は?
さて、みなさんが一番気になるのは正直この部分だと思います。
果たして、イギリスがEUを脱退したらどのような影響が世界に波及するのでしょうか?
残念なことに、日本にとってはあまりプラスとなる要素はないのが現実です。
考えられる影響をまとめると、
①EUという枠組みを失ったイギリスの地位が揺らぎ、ポンド安・ドル高・円高を迎える
②EU自体の世界的な地位も揺らぎ、ユーロ安・ドル高・円高を迎える
③(最悪の場合)他のEU諸国も脱退を始め、取り返しがつかず世界の秩序が崩れる
の3点が主でしょうか。(考えれば考えるほど、もっと影響がありそうですが、暗くなりそうなので一旦このくらいで、、笑)
①に関しては、正直大したことはありません。ポンド建で取引を行う日本企業は実際そこまで多くない為です。
②が起こると、それはもう大変です。円高になると輸出企業には大ダメージで、業績悪化・日経平均大幅下落の未来が目に見えます。
マーケットというのは敏感なもので、そこまで大騒ぎをしなくてもいいのにな、と思うことで非常に敏感に動きます。
ましてやこのように直接的な要因が目に見えて起こるとなると、機関投資家だけでなく一般の投資家たちもパニックに陥る可能性もなくはないです。
リーマンショックのような世界恐慌を迎えるということはないでしょうが、注意は十分に必要と言えます。
もしくはFXをする人なら、円高方向に振れに賭けて、一気に売り注文を入れておいて勝負をかけることもできます。
僕の場合怖くてできませんが笑、FXで勝つ為にはそんな勝負師魂も必要かもしれません。
③は本当に最悪のケースですが、ありえないとは言えない話です。
今回のイギリスのEU離脱国民投票の追い風ともなったパリのテロ事件もそうですが、世界秩序はかつてのアメリカ一強時代から比べると確実に悪化しています。
世界平和の為に作られた組織であるEUから、大国であるイギリスが移民問題を背景に脱退するなんてことが起これば、反グローバリズムとも言えるこの流れが加速しない断言できる人はいないのではないでしょうか。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回のイギリスのEU離脱国民投票がどのように転ぶかはまだわかりません。明日の午後を待つのみです。
株式投資・FXをされるみなさんは、このようなビッグイベントをチャンスと捉えるもよし、リスクと捉えて休むもよし、とにかく情報にキャッチアップして遅れをとらないように気合いをいれていきましょう!!
株式口座は、
いやいや、どうせやるならFXだろ!という方はこちらから、どぞ。
追記
イギリス、国民投票で本当にEU離脱の方向になりましたね。
僕はこっちに賭けてたので、とりあえずあざっす。ですが、引き続き注視が必要なトピックです。
また情報を整理次第更新します!